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売却のタイミングを逃すと生じやすい問題と親の代わりに売却する際の手続き、注意点
親が老人ホームに入居する際、実家を売却するべきかお悩みの方もいるのではないでしょうか。家族でしっかりと話し合った結果であれば、売却しないことも選択肢の一つです。ただし、売却のタイミングを逃すと問題が生じるケースがあります。
売却しないデメリットを考慮した上で、判断してみてはいかがでしょうか。
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親が老人ホームに入居する際、「実家を売却するかどうか」「どのタイミングで売却するべきか」お悩みの方もいるのではないでしょうか。最終的には、親や他の親族としっかりと話し合って決めることが大切です。
「数年後に戻って来るかもしれない…」というケースもあるため、無理に売却する必要はありません。ただし、将来的に売却を検討している場合、できる限り早く手続きすることをおすすめします。売却のタイミングを逃すと、税制面をはじめ、さまざまな理由から問題が生じやすいためです。
売却しないデメリットを考慮した上で、検討してはいかがでしょうか。
不動産を売却して利益が生じると「譲渡所得税」が課税されます。高額な不動産は、譲渡所得税額が高くなる恐れがある点に注意が必要です。
ただし、マイホーム売却時には、税金の負担軽減措置として特例が設けられています。特例を利用できれば、譲渡所得税の負担を大幅に軽減できるでしょう。
例えば「3000万円特別控除」という特例は、マイホーム売却時の利益から最高3000万円を控除できる制度です。
特例を利用するためには複数の条件を満たす必要があり、条件の1つに「住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却すること」という項目があります。売却するタイミングが遅れると、他の条件を満たしても利用できなくなってしまうため注意が必要です。
【3000万円の特別控除とは】不動産売却で必要な税金の知識高齢化に伴い、認知症を発症する人も増加傾向にあります。不動産の所有者である親が認知症を発症した場合、売却の手続きが複雑化する恐れがある点に注意が必要です。
不動産を売却する際、売主と買主の間で不動産売買契約を締結します。法律上では、自らが行った契約を理解できる能力を「意思能力」と呼び、契約を締結するためには「売却したい」という意思が必要です(民法・第3条の2)。
財産保護の観点から、正常な判断が困難な方(意思無能力者)の締結した契約は無効になります。マイホームは生活する上で重要な資産であるため、たとえ子どもであっても勝手に売却できません。認知症といっても進行度合いによって症状が異なりますが、場合によっては売却が難しくなる恐れがある点にご注意ください。
成年後見制度を利用すれば、親の代わりに不動産を売却できる可能性があります。ただし、親の成年後見人になるには、家庭裁判所に選任されなければなりません。
親族が成年後見人に選任されるケースはあるものの、管理する財産の金額や必要な手続きによっては、専門知識のある方でないと難しくなります。親族による管理が難しいと判断された場合、専門家が選任されるでしょう。
また、成年後見制度を利用するには多数の書類作成を要するため、手間もかかります。親の意思能力に問題がないうちに売却してしまった方が、親族の負担を抑えられます。
親が老人ホームに入居する際、「介護費用をどのように工面するべきか」お悩みの方もいるのではないでしょうか。親の介護費用は、親のお金で賄うケースが一般的です。
老人ホームでの介護は、在宅での介護よりもお金がかかります。不動産を売却すればまとまった資金を準備できるため、経済的にも安心です。
不動産を所有し続ける場合、固定資産税などの維持費がかかります。また、空き家のまま放置すると建物の老朽化が進むため、定期的な換気や庭の手入れなど親族による管理の手間もかかるでしょう。
実家が遠方にあるなど、定期的な訪問が難しいケースもあると思います。とはいえ、空き家のまま放置することはおすすめできません。老朽化した空き家を放置すると、以下のように近隣の方へ迷惑がかかる恐れがある点に注意が必要です。
不動産の売却を検討している方であれば「少しでも高く売りたい」と考えるでしょう。
建物の価値を決める要素は多岐にわたりますが、一般的に外観や内装・設備の劣化が進むにつれて資産価値が下がります。建物が古くなり、買い手が見つかりにくくなると安く売らざるを得なくなるでしょう。
建物が古くなっても、解体後に土地として売却する、リフォームするなど、工夫を凝らせば高く売却できる可能性もありますが、余計な費用がかかります。
不動産を少しでも高く売却したい場合、可能な限り早く手続きを進めることをおすすめします。親が所有する不動産は、子どもであっても勝手に売却できません。子どもが親に代わって不動産を売却する場合、「代理権」を得た上で手続きを進めます。
親の代理で不動産を売却する流れは、以下6つのステップです。
代理人(子ども)が締結した契約の効力は、代理人ではなく委任者(親)へ生じる仕組みです。つまり、子どもが親の代わりに契約を締結した場合、親と買主が契約したことになります(民法・第99条)。
不動産売却完了までの流れ親の代理で売買契約を締結するには「子どもに代理権があること」が条件です。親から代理権を得ている旨を明確にするために、委任状を作成します。
一般的に、委任状の作成は不動産会社がサポートしてくれます。不安がある場合、営業担当者に相談しながら進めましょう。
委任状の内容 | 特記事項 |
---|---|
親が子どもへ不動産売買契約を委任する旨 | 委任者(親)が代理人(子ども)へ代理権を与える旨を明記にする |
売却の対象となる不動産の情報 | 所在地や面積など |
委任する内容 | 親が希望する売却条件、子どもに与える代理権の範囲など |
親・子どもの住所、署名捺印 | 署名は原則、代筆ではなく自筆、捺印は実印にて |
※上記はあくまでも一例です
委任状には印鑑証明書を添付します。
親が「どのように不動産を売却したいのか」、代理人となる子どもに「どこまでの権限があるのか」など、売主である親の希望や代理権の範囲をしっかりと話し合い、委任状に明記しておくことが大切です。
例えば、売買代金の希望や引き渡し日といった本人の希望を明確にしておかないと、後にトラブルが生じる恐れがあります。契約の締結のみ、売却活動から引き渡しまでの全てを委任するなど、代理人が対応する範囲も明確にしておきましょう。
代理での契約が有効に成立するためには、代理人(子ども)が契約の相手方(買主)へ代理である旨を示す必要があります。具体的には、契約の相手方に委任状を提示します。買主へ委任状を提示するため、親の代理で不動産を売却する際は必ず書面で委任状を作成しましょう。
不動産を売却して譲渡所得が生じた場合、確定申告が必要です。ただし、子どもが親の代理で確定申告書を作成することはできない点にご注意ください※。
※成年後見人であれば可能です
税務を代理できるのは税理士のみであり、税理士以外が行うことはできません(税理士法・第52条)。
確定申告書の作成ではなく、書類の提出のみであれば代理でも可能です(この場合も委任状が必要なケースがあります)。不動産売却後に確定申告が必要な場合、注意事項や必要書類について事前に税務署などへ確認しておきましょう。親が老人ホームに入居した際、実家を売却するタイミングを逃すと問題が生じるケースがあります。売却するべきか迷っている方は、売却しないデメリットを考慮した上で検討しましょう。
親の代理で不動産を売却する場合、委任状が必要です。一般的に、委任状の作成は不動産会社がサポートしてくれます。不安がある方は、営業担当者へ相談しながら手続きを進めてみてはいかがでしょうか。
親が老人ホームに入居する場合、不動産を売却するタイミングは?
詳しくは<親が老人ホームに入居する場合、不動産を売却するタイミングは?>をご参照ください。
親の代理で不動産を売却する際の注意点
詳しくは<3. 親の代理で不動産を売却する際の注意点>をご参照ください。
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