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不動産売却の全体の流れを解説
不動産の売却にあたって、不安はつきものですよね。
中々経験することの多くない不動産売却の流れをしっかりと把握することで、不動産売却への不安を軽減することができます。
ここでは、そんな不動産売却の全体の流れを解説していきます。
今は読んでいる時間が無い!という方、この記事の要点はこちら
目次
手持ちの不動産の売却を考えたら、まず最初にやることは「不動産の価格を知ること」です。
そのためには不動産会社に不動産の査定依頼を行いますが、不動産会社と言っても地元密着の不動産会社から大手不動産会社まで千差万別です。
不動産会社によって、得意なエリアや売り方、戦略などが異なりますので、1社だけに相談するというのはあまりお勧めできません。
しかし、いくつもの不動産会社に1件ずつ査定依頼を行うには非常に時間と手間がかかってしまいます。
そのために「不動産の一括査定」があります。
物件の住所などの入力が1回で済み、かつ複数の会社へ査定依頼が可能ですので、忙しい現代人にはぴったりの査定依頼方法です。複数社から査定金額を提示されると、おおよそ物件の相場というものが分かってくるかと思います。
不動産会社によっては少し高めのチャレンジ価格を提示したり、確実に買主が見つかる金額で提示したりと、様々な考え方があります。1社しか話を聞かない場合、納得のいく不動産売却ができない可能性がありますので、まずは、必ず複数社から物件についての話を聞くようにしましょう。
複数社に話を聞く中で、この金額で売れたら良い「希望価格」、この金額でなら売ってもいい「最低金額」を自分の中で決めておきましょう。
なぜ二つ金額を出しておく必要があるかというと、よほどのことが無い限り、購入検討者から多少の値引き交渉があるからです。
勿論、希望価格で売れることが全くないということはありませんが、不動産は周辺の売買状況や時期などに影響を受けますので、金額については多少の柔軟性を持って検討しておくほうが良いでしょう。
不動産の売却を1社、もしくは複数社の不動産会社に依頼することになったら、次は「媒介契約」を結びます。
媒介契約には、3つの種類があります。
契約態様 | 複数社と媒介契約 | 契約の有効期限 | 売却活動の報告 | 自分で見つけた相手との直接契約 | 指定流通機構(レインズ)への登録 | 令和2年売り物件新規登録件数 (※) |
---|---|---|---|---|---|---|
一般媒介契約 | ○ | なし (ただし、行政の指導は3ヶ月以内) |
なし (任意で報告を求めることは可能) |
○ | 登録義務なし | 413,338 |
専任媒介契約 | × | 3ヶ月以内 | 2週間に1回以上 | ○ | 契約から7日以内 | 489,360 |
専属専任媒介契約 | × | 3ヶ月以内 | 1週間に1回以上 | × | 契約から5日以内 | 170,302 |
公益財団法人不動産流通推進センターが公表している、令和2年の売り物件新規登録件数では、専任媒介契約が一番多い契約態様となっています。
一般媒介は、「複数社」と結ぶことができます。
複数の不動産会社と媒介契約を結ぶので、より多くの人に不動産の情報を届けやすくなります。また、自分で買主を探してくることもできますので、自分でも活動していきたい人にはお勧めです。人気の高いエリアであれば、多くの人の目に付く一般媒介は早期売却の手助けになるでしょう。
ただし、複数社と媒介契約を結ぶことができるため、不動産会社としては、一生懸命売却活動をしたとしても他社に先に契約されてしまうと広告費や人件費が無駄になってしまい、あまり積極的な活動を行えないと考える可能性もあります。
専任媒介は、「1社」とのみ結ぶことができる媒介契約です。自分で買主を探してくることもできます。
専任媒介と専属専任媒介は指定流通機構(レインズ)の登録が必須となっています。指定流通機構(レインズ)に登録されると、全国の不動産会社が登録された物件を見ることができますようになりますので、多くの不動産会社の目に触れられるようになるのがメリットと言えます。また、14日に1回、売却活動の報告の義務がありますので、進捗を確認できるのも魅力的です。
また、専任媒介ではほかの不動産会社に売却の依頼を行うことができなくなるため、不動産会社としては一生懸命、任された物件の売却を進めてくれるようになることも期待できます。
専属専任媒介は専任媒介と似ていますが、大きな違いは「自分で買主を見つけることができないこと」、「専任媒介より報告の頻度が高いこと」が挙げられます。
自分で買主を見つけてくることができないため、全てを不動産会社に任せる形になりますが、専任媒介契約に比べて不動産会社からの受ける報告が多くなりますので、進捗が把握しやすいのが特徴です。
3つの媒介契約にはそれぞれ特徴がありますので、自分の売却スタイルや、物件の状況によってどの媒介契約が良いのか検討しておくと良いでしょう。
不動産会社に仲介を依頼し、売却を進めていくのが一般的な不動産売却の方法ですが、その場合、いつ売れるのかという保証がありません。不動産の売却を依頼したい理由は人それぞれですので、すぐに現金化したい場合もありますよね。
そのような人におすすめしたいのが「不動産の買い取り」です。不動産の買い取りでは、不動産会社がご所有の物件を購入するため、すぐに現金化することができます。
また、買い取りの場合は、不動産の仲介ではありませんので仲介手数料もかかりません。
不動産の売却を仲介してもらうと、最大で「物件価格の3%+6万円」の仲介手数料がかかってしまいますので、費用をとにかく抑えたいという場合にも、買い取り制度がおすすめです。
媒介契約を結び、不動産会社の営業の結果、晴れて不動産の買主が見つかったら、次は「売買契約」を買主と締結します。
売買契約締結時には、主に「重要事項の説明」「手付金の授受」「売買契約書への捺印」を行います。重要事項の説明については、不動産会社は買主に説明をする義務があります。一方で、売主への説明義務はありませんが、双方が揃って説明を受けておくと認識の相違がなくなるため、一緒に説明を受ける方が良いでしょう。
一般的には仲介する不動産会社の事務所で行うことが多いですが、契約の場所に制限はありません。売主・買主がそれぞれ遠方である場合や日程調整が難しい場合は、それぞれのご自宅などで行う場合もあります。
重要事項の説明を入れると、合計で約2時間ほどかかりますので、当日は余裕を持ったスケジュールで売買契約に臨んでくださいね。
普段の生活では中々耳にする機会はありませんが、不動産の売買には、ほぼ必ず存在する「手付金」。イマイチどういうのもなのか分かりにくいですよね。
参考:公益社団法人 全日本不動産協会(手付金とは )
文章にするとちょっと難しいですよね。ここで分かりやすくポイントを説明していきます。
要するに、金額の大きい不動産売買では、売主・買主の双方の意思で売買が成立したことを表す大切な証となり、また有事の際には双方で揉めないために金額を定めておくという役割もあるのです。
売買契約で必要な重要事項説明書や売買契約書については不動産会社が用意してくれます。
売買契約書はその名の通り、金額など売買に関連する内容が記載された契約書。
重要事項説明書とは、売買される不動産の内容について記載された書類のことです。
重要事項説明書を作成するにあたって不動産会社でも物件について調査をしますが、購入時の重要事項説明書などがあると作成がスムーズに行えます。
契約時にはその他にも本人確認書類など、用意しておく書類があります。必要な書類を確認したい方はこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
不動産売却における必要書類
売買契約が締結されると、次は実際の売買代金の「決済」・物件の「引き渡し」を行います。
売買契約の締結から、「決済・引き渡し」まではおおよそ1ヶ月程度かかります。
その間に、売主は引っ越しや内部の残置物の片づけなどを行い、物件を買主に渡せるよう準備をしておきましょう。
決済・引き渡しは、買主が住宅ローンなどを組む場合、銀行で行うことが多く、おおよそ1時間から2時間ほどの時間がかかります。
主に決済・引き渡しでは下記の3つのことを行います。
物件の決済が完了したら、不動産の所有者が売主から買主に変更したことを登記にも反映する必要があります。
もし、登記上での名義が変更されていない場合、買主にとって大変な不利益となってしまいます。
この所有者移転登記については、一般的に司法書士に依頼して行います。
個人でも行うことができないわけではありませんが、手続きが煩雑ですので、司法書士に依頼したほうが良いと思います。
売却する物件に抵当権が設定されている場合、その抵当権を抹消する必要があります。
住宅ローンの完済が住んでいない場合も、抵当権が設定されています。
その場合、住宅ローンを完済してから物件を引き渡す必要がありますが、残りの金額をすべて手持ちの現金で払いきれるという状況は多くありません。
ですので、一般的には「同時決済」と呼ばれる方法が多く取れます。
「同時決済」とは、決済当日に売主・買主双方の住宅ローンの手続き、不動産の登記上の手続きを一気に行います。
まず、金銭面では、買主の住宅ローンの資金を売主が受け取り、売主はその資金で自分の住宅ローンの返済を完了します。
登記上では、売主が住宅ローンの返済を完了したため、物件から抵当権の設定を外し、所有者の名義を売主から買主に変更します。最後に、買主の住宅ローンによる抵当権の設定を物件に新たに設定します。
この同時決済であれば、抵当権が設定されている場合であっても1日で決済・引き渡しを完了することができますので、双方に負担の少ない方法であると言えます。
最後に、不動産の売却後は確定申告が必要な場合があります。
特に不動産売却で売却益が出た場合は確定申告は必須となります。
反対に、不動産売却を行って損失が出てしまった場合は、確定申告は義務ではありません。しかし、譲渡損失額を他の所得と損益通算することができ、税金を押さえることができるかもしれませんので、確定申告をしておいた方が良いと思います。
不動産売却後の確定申告について詳しく知りたい方は下記の記事もチェックしてみてくださいね。
不動産売却後の確定申告と注意点
相続した物件を売却したい場合、まず必ず必要なのが「相続登記」です。
相続登記を行う期限はありませんが、登記を行わない限りは所有者の名義人が亡くなった方のままになってしまいます。
その状態では不動産の売却はできませんので、売却をご検討の場合は相続登記を必ず行うようにしてください。
相続登記が完了すると、所有者は売主ご本人になりますので、売却の流れとしては通常のものに変更はありません。
また、相続した物件を相続開始のなった日の翌月から相続税申告期限の翌日以後3年以内に売却した場合、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例を受けることができます。
詳しくはこちらの記事も読んでみてくださいね。
不動産売却にかかる税金と損しないための節税方法
成年後見人の方が、成年被後見人の不動産を売却する場合、対象の不動産が居住用不動産にあたる場合は家庭裁判所への申し立てが必要となります。
居住用の住宅には、成年被後見人が現在住んでいる住宅の他に、施設へ入所・病院へ入院している場合はその以前に居住していて生活の拠点になっていた住宅、将来的に生活の拠点として利用する予定の物件も含まれます。
また、物件を売却するにあたって売却の必要性などについても加味して判断されます。
この家庭裁判所への申し立てには、売買契約書の提出が必要となります。
この時、買主が決まっており、住所や名前を売買契約書に記載する必要があります。
全体の流れとしては、下記のようになります。
通常の売却と比べて、売主が行動することが多くなりますので、不動産会社と相談しながら売却を進めていきましょう。
相続財産管理人とは、相続する財産があるのに相続人がいない、または、法定相続人全員が相続放棄をした場合に家庭裁判所に申立てをすることによって選任された相続財産を管理する人のことを指します。
相続財産管理人には不動産売却の権限はありませんので、不動産の売却を行いたい場合は家庭裁判所に権限外行為許可を申請し、許諾を得る必要があります。その後、不動産の売却を行うことができます。
また、売却が完了したら、売却益を特別縁故者や利害関係者への分配も行います。
今回は、不動産売却の流れについて解説しました。全体の流れが見通せると不動産売却の不安も少しは軽減されたと思います。
分からないところや不安なところは不動産会社と相談しながら進めていくことになるでしょう。
千里の道も一歩から、まずは不動産の一括査定で売却の検討をしてみてくださいね。
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