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空き家にかかる費用から放置するデメリットまで
実家などの不動産を相続で取得したという人であっても、相続した不動産に仕事などの都合で住むことができない場合も多いでしょう。誰も住まなくなってしまった家は傷みやすいものですが、日常生活の合間を縫って維持・管理し続けるのは簡単な事ではありません。とはいえ、放置してしまうとどうなるかご存じの方も多くないでしょう。
ここでは、そんな空き家を放置してしまうとどうなるのか、維持と売却どちらがお得か、詳しく解説していきます。
今は読んでいる時間が無い!という方、この記事の要点はこちら目次
相続で実家を取得した場合や、転勤などで自宅に誰も住まなくなってしまった場合など、不動産が空き家になってしまう理由は様々です。
そんな空き家ですが、ただ所有しているだけでも維持費はかかってしまいます。具体的には、下記のようなものが維持費として必要になります。
空き家の大きさや地域によっても異なりますが、維持するには年間約20万円〜30万円ほどの費用がかかることが一般的です。
空き家であっても、所有していると固定資産税と都市計画税は毎年かかります。
固定資産税と都市計画税の計算方法は、以下の通りです。
固定資産税:固定資産税評価額×税率1.4%
都市計画税:固定資産税評価額×税率0.3%
なお、空き家の場合は、「住宅用地特例」を受けることができます。「住宅用地特例」は住宅が建っていることが条件ですので、空き地になっている場合は受けることができません。空き家をすぐに解体せずにそのまま所有しておくことで固定資産税・都市計画税の節約につながります。
また、土地の面積によって特例の係数が変わってきます。計算方法は下記の通りです。
固定資産税(200m2未満の部分):固定資産税評価額×1/6×税率1.4%
固定資産税(200m2以上の部分):固定資産税評価額×1/3×税率1.4%
都市計画税(200m2未満の部分):固定資産税評価額×1/3×税率0.3%
都市計画税(200m2未満の部分):固定資産税評価額×2/3×税率0.3%
また、具体的な固定資産税・都市計画税の金額については、毎年自治体から送られてくる納税通知書に記載がありますので、そちらを確認することをお勧めいたします。
誰も住んでいない家だからと言って、管理するためには電気や水道などを止めてしまうわけにはいきません。掃除や換気のために立ち寄るだけでも、やはり電気などが止まってしまっていると不便を感じるでしょう。
住んでいる住宅のように頻繁に使用するわけではありませんので、月々の料金が高額になるということはないと思います。しかし、住んでいる地域にもよりますが、年間約5万円程度は維持費としてかかってくるでしょう。
また、住んでいる住宅よりも管理が難しい側面から、電気や水道を勝手に使用されてしまう可能性があります。水道光熱費の明細を見るときは、前月よりも使用量が多くなっているなどの不審な動きがないか、注意して確認しましょう。
空き家になったからと言って、そのまま放置しておくわけにはいきません。誰も住まなくなった家は通常の家よりも早いスピードで傷んでいってしまいます。傷んだ家をそのまま放置してしまうと倒壊の危険性があります。
それだけでなく、景観の側面からも、庭の草むしりなどの細々とした管理は必須です。
所有する空き家が遠方にある場合は、自分で行くと交通費がかかります。また、なかなか忙しくて時間が取れないという方も多いでしょう。
その場合は、空き家の巡回や草むしりを依頼できる業者がいます。そういった業者に委託する費用は、管理方法や対応を依頼するサービスの内容によって変わりますが、大体月5000円〜1万円程度でしょう。
上記でご説明してきた費用は、どのような空き家でもかかってくる費用ですが、状況によっては他にも費用が発生する可能性があります。
あなたの所有する不動産が相続によって取得したものであれば、「相続税」がかかります。
また、相続した物件など、不動産登記の名義を変える必要がある場合は、「登録免許税」も費用として発生します。
この二つはいずれも一時的な費用ですので、ご紹介したもののように毎年かかる費用ではありません。
他にも、あなたが不動産に火災保険をかけている場合は、その費用もかかってくるでしょう。空き家は、通常の居宅に比べて人の管理が行き届きにくく、放火などの危険性が高まります。
しかしながら、通常の住宅用の火災保険は、空き家を対象外としているものがほとんどです。空き家が保証対象となっている火災保険は、通常のものと比べても金額が高く設定されていますので、ランニングコストとしては高くなってしまいます。
これまでは、空き家の維持費用について説明してきました。空き家を維持するにもやはり相応の金額がかかってしまいます。
住むわけでもない家のためにそれだけの金額を払い続けるのは、誰でもできることではありません。
とはいえ、空き家をそのまま放置していくのはおすすめできません。空き家を放置してしまうと、廃棄物の不法投棄による衛生面での問題、放火の危険性や、無法者が住み着いて治安悪化を招くリスクがあります。さらに老朽化による資産価値の低下だけでなく、倒壊の危険性もあります。
放置された危険な空き家が全国的に問題となっており、2015年に「空家等対策特別措置法」が施行されました。空家等対策特別措置法では、以下のことができるようになりました。
そもそも空き家は人の所有物ですので、敷地内に立ち入って調査することができません。しかし、空き家を遠くから見ただけではどのくらい老朽化が進んでいるのか、どのくらい危険性があるのかを知ることは難しいですよね。
「空家等対策特別措置法」が施行されたことによって、空き家の調査を行うことができ、固定資産税の納税者の情報等を利用して所有者を特定することができるようになりました。
「空家等対策特別措置法」では、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等」を特定空き家と指定しています。
空き家の調査の結果、管理ができていないと認定されると特定空き家に指定されます。特定空き家に指定された場合、自治体から空き家の管理について助言や指導を受けることになります。助言や指導を受けてもなお、状況が管理されない場合は下記のように行政指導が進んでいきます。
もし、あなたの不動産が特定空き家に指定されてしまっても、自治体からの連絡があった段階で適切に管理をすることができれば、特定空き家の指定は解除されます。自治体からの連絡にはすぐ対応するようにしましょう。
特定空き家に指定され、適切に管理ができていない場合、固定資産税が6倍の金額になってしまう可能性があります。
それは、特定空き家に指定された後、行政からの助言や指導があったにも関わらず、管理が適切に行われずに勧告を受けた場合です。勧告を受けた空き家は、その改善がされるまでの間、固定資産税の軽減措置を受けることができなくなります。
1.1.固定資産税、都市計画税でご説明した通り、空き家の場合は「住宅用地特例」を受けており、面積が200m2未満の部分については、固定資産税が1/6に軽減されています。その軽減措置がなくなってしまうため、6倍の金額になってしまうのです。
このような事態を招かないよう、空き家は放置せず、きちんと管理していく必要がありますね。
実際に空き家となっている住宅を所有している場合、空き家を維持し続けるか手放してしまうか悩む方がほとんどです。特に実家など、思い入れのある場所であればなおさら手放すことに躊躇してしまうでしょう。
空き家を維持するか売却するか悩んだら、今後自分がその家を活用できるかどうかを検討してみてください。例えば、10年後に移り住もうと考えている場合は、無理に手放す必要はありません。
売却も検討したいなら、まずは一括査定から始めてみましょう。遠方でなかなか時間が取れない方や売却不安がある方もまずは不動産会社と相談してみるのがおすすめです。
一括査定依頼を行う空き家は、自分が住んでいるわけではないので、管理をしていくのもなかなか大変です。空き家を維持し続けるのは容易なことではありませんし、放置してしまうと危険性も増してしまいます。
放置してしまい特定空き家に認定された場合は、固定資産税の優遇措置が受けられなくなるなどのデメリットもあります。
大切な不動産ですから、悔いが残らないよう、適切な管理や売却で活用していけるといいですね。
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