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路線価の定義から計算方法まで
不動産売却時、土地がいくらになるのか目安を計算できれば便利ですよね。土地の売却価格は、路線価や固定資産税評価額から計算できます。
ただし、路線価や固定資産税評価額から計算した土地の価格は実際の売却価格と異なるため、不動産会社による査定は必要です。あくまでも参考程度にしてくださいね。
今回は、路線価の定義から、路線価や固定資産税評価額を用いた土地の価格の計算方法について解説していきます。
今は読んでいる時間が無い!という方、この記事の要点はこちら目次
また、土地の評価方法は路線価を含めて4種類あります。
土地の評価方法 | 特徴・用途 |
---|---|
路線価 | 国税庁が公表する相続税、贈与税の計算の基準価額 |
固定資産税評価額 | 市区町村(東京都23区は都)が定める固定資産税の計算の基準価額 |
公示地価 | 国土交通省が公表する売買の目安となる価額 |
基準地価 | 都道府県が公表する売買の目安となる価額 |
上記の評価方法の大本となるのは、実際に取引された価格(実勢価格または時価)です。土地の評価方法は複数あるため、同じ土地でも評価方法によって土地の価格が変わります。
ここでは、相続税・贈与税の計算で使われる路線価の定義や、不動産売却時の価格の計算方法などについての解説です。
路線価とは、土地の相続税や贈与税を計算する際の基準です。道路に面している宅地1m2あたりの価額であらわされ、国税庁が毎年1月1日に公表しています。
路線価は、下記国税庁の路線価図・評価倍率表から誰でも確認可能です。
国税庁_路線価図・評価倍率表土地の売却価格の計算方法は、路線価を使用する路線価方式、固定資産税評価額を使用する倍率方式の2種類です。
路線価は広範囲の市街地で定められていますが、地域によっては定められていないところがあります。そのため、土地の価格を計算する際、路線価が定められている地域は路線価方式、路線価が定められていない場合は倍率方式になります。
路線価方式と倍率方式の違いは、基準になる価額です。路線価方式では路線価、倍率方式では固定資産税評価額が基準です。
方式 | 基準 |
---|---|
路線価方式 | 路線価 |
倍率方式 | 固定資産税評価額 |
路線価方式・倍率方式での価格の計算方法は、第2章で詳しく解説します。
不動産売却時、土地と建物では評価方法に違いがあります。
土地の評価方法は、先述した路線価または固定資産税評価額に加えて、地形・大きさなど土地の特徴を加味する方法です。
一方建物の評価方法では、築年数を加味します。建物には耐用年数が定められていて、木造住宅の耐用年数は20年〜22年です。耐用年数に近づくほど建物の価値が低くなるため、築年数の古い土地付き一戸建ては、売却価格の大部分が土地の価格になります。
そのため、土地付き一戸建てを売却する場合、土地の価格がわかればおよその売却価格がわかります。
ここでは、路線価・固定資産税評価額から、土地の評価額(土地の価値)を計算する方法を解説します。実際の路線価図を使用して解説するので、記事を参考にしながらあなたの土地の売却価格も一緒に計算してみてくださいね。
路線価を使用した土地の評価額の計算方法は、以下の通りです。
路線価を使用した土地の評価額=路線価×奥行価格補正率×土地の面積(m2)
それでは、計算する手順を解説します。
路線価を確認する
路線価は、国税庁の路線価図・評価倍率表(下記参照)から確認できます。
路線価の確認方法 <※2021年4月時点>
地域によっては、路線価ではなく「倍率地域」と表示されている場合があります。「倍率地域」と表示された場合は、路線価方式ではなく後述する倍率方式で計算する地域です。
奥行補正率を確認する
奥行価格補正率は、道路に接している面が一面のみの宅地の評価を調整するためのものです。道路に接している面が一面のみの土地は、複数に接している土地よりも利用しにくいため、奥行価格補正率を用いて評価を低くします。
奥行価格補正率は、国税庁の奥行価格補正率表(下記参照)から確認できます。以下の表は、奥行補正率表から一部抜粋したものです。
普通住宅地区の奥行補正率
奥行距離 | 普通住宅地区 |
---|---|
4m未満 | 0.9 |
4m以上6m未満 | 0.92 |
6m以上8m未満 | 0.95 |
8m以上10m未満 | 0.97 |
10m以上24m未満 | 1.0 |
24m以上28m未満 | 0.97 |
28m以上32m未満 | 0.95 |
道路に接している面が一面のみの場合、奥行が極端に長いまたは短い方が利用しにくいため、補正率が大きくなる仕組みです。上記の表で言うと、奥行10m以上24m未満を基準に、奥行が4mまたは32mに近づくほど補正率が大きくなります。
路線価方式で土地の評価額を計算する
路線価と奥行補正率を確認できたら、実際に土地の評価額を計算します。
ここでは、実際の路線図を参考にしたイメージを用いての解説です。図にあるオレンジ色の部分はこちらで後付けしたもので、オレンジ色の部分を普通住宅地とします。
※ここでの計算では、地形や立地などは考慮していません。宅地の条件
上記の図に記載されている「320D」という数字が路線価をあらわしています。路線価の表記は千円単位となるため、上記図にある宅地の路線価は32万円です。
実際の計算方法は以下の通りです。
路線価32万円×奥行補正率1.0=1m2あたりの評価額32万円
32万円×宅地面積150m2=宅地の評価額4,800万円
ちなみに、320DのDは土地の借地権割合を表します。借地権割合はA(90%)〜G(30%)まで定められていて、Dの場合は借地権割合が60%という意味です。上記の宅地に借地権がある場合、計算した宅地の評価額×60%が評価額となります。
借地権がある場合:4,800万円×60%=宅地の評価額2,880万円
それでは次に、固定資産税評価額を使用した土地の評価額の計算方法を解説します。この計算方法は、倍率方式という方法です。
倍率方式での計算方法は以下の通りになります。
倍率方式を使用した土地の評価額=固定資産税評価額×倍率
固定資産税評価額は、納税通知書または各自治体で取得できるので、確認してみてください。
それでは、計算する手順を解説していきます。
対象地域が倍率地域となっているか確認する
国税庁の路線価図・評価倍率表から、対象地域に倍率地域と記載があるか確認します。
倍率を確認する
倍率方式は、固定資産税評価額に地域ごとで決められている倍率をかけて計算します。倍率は、国税庁の路線価図・評価倍率表から確認できます。
倍率の確認方法 <※2021年4月時点>
倍率方式で土地の評価額を計算する
倍率方式の場合、固定資産税評価額と倍率がわかれば計算は簡単です。
例えば、全域で倍率が統一されている千葉県香取市の場合、宅地の倍率は1.3倍なので、固定資産税評価額が5,000万円の場合、土地の評価額は6,500万円です。
倍率方式による宅地の評価額6,500万円=固定資産税評価額5,000万円×1.3
不動産売却時、実際に取引される価格を実勢価格を言いますが、路線価や固定資産税評価額から計算した土地の価格は、実勢価格とは異なります。そのため、先ほど計算した土地の評価額から実勢価格を計算する必要があります。
路線価や固定資産税評価額は実勢価格を基準に計算されており、価格の目安は以下の通りです。
価格の目安 | |
---|---|
路線価 | 実勢価格の80% |
固定資産税評価額 | 実勢価格の70% |
先ほどの例を用いて路線価方式、倍率方式で計算した土地の価額から実勢価格を求める方法は、以下の通りです。
路線価方式で計算した場合
実勢価格=路線価方式による土地の評価額÷80%
6,000万円=宅地の評価額4,800万円÷80%
実勢価格=倍率方式による土地の評価額÷70%
約9,285万円=倍率方式による宅地の評価額6,500万円÷70%
※千円未満切り捨て路線価から実勢価格を計算する際の注意点は、路線価には土地の諸条件が加味されていないことです。
路線価は、土地ごとではなく道路に接している土地の価格を一律で定めたものです。そのため、下記のような各土地の諸条件は加味されていません。
など
路線価から実勢価格を計算する際はあくまでも目安として、実際に売却する際は不動産会社への査定をおすすめします。
土地の売却価格の目安は、路線価や固定資産税評価額がわかれば計算可能です。
ただし、路線価や固定資産税評価額から計算した価格と実際に取引される価格は異なります。あなたの土地を売却する際は、不動産会社に査定を依頼した上で価格を決定しましょう。
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