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不動産売却時の税金計算方法から譲渡所得税シミュレーションまで
不動産売却時には税金がかかりますが、税金の計算と聞くと複雑で難しく感じますよね。しかし、不動産売却時にかかる税金は、計算式がわかれば売却前に概算シミュレーションできます。
不動産売却時にかかる税金の中でも、譲渡所得税は税額が大きくなる可能性があるため、注意が必要です。
今回は、不動産売却にかかる税金の計算方法や、譲渡所得税のシミュレーションを解説します。
今は読んでいる時間が無い!という方、この記事の要点はこちら目次
不動産売却時にかかる税金と計算方法を、以下の表にまとめました。
時間がない人や、計算に必要な情報がある程度わかっている人は、表の「税額・計算方法」を参考にシミュレーションしてみましょう。
課税対象 | 税額・計算方法 | ||
---|---|---|---|
印紙税 | 不動産売買契約書の金額 | 1,000万円超~1億円以下の場合2~6万円(1~3万円※1) | |
登録免許税 | 抵当権抹消登記 | 不動産1つにつき1,000円※2 | |
消費税 | 仲介手数料 | 売却価格×3%+6万円×消費税率※3 | |
譲渡所得税 | 所得税・住民税 | 売却で得た利益 | (売却価格ー取得費※4+譲渡費用※5)×税率※6 |
復興特別所得税※7 | 所得税の税額 | (譲渡所得×所得税率)×税率2.1% |
※1…平成26年4月1日から令和4年3月31日までは、軽減税率で()内の税額が適用されます。
※2…例:土地と建物を売却した場合、印紙税額は2,000円です。
※3…例:2,500万円のマイホームを令和3年3月1日に売却した場合の税込仲介手数料(2,500万円×3%+6万円)×消費税110%=89.1万円
※4…取得費には以下の金額が含まれます。
など
※5…譲渡費用には、以下の売却にかかった費用です。
など
※6…譲渡所得税の税率は、所有期間によって変わります。
区分 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
所有期間5年超 | 15% | 5% |
所有期間5年以下 | 30% | 9% |
※7…復興特別所得税は令和19年まで課税されます。
上記の表の通り、譲渡所得税は計算方法が複雑でわかりにくいと感じる人もいるでしょう。譲渡所得税の計算方法は、次の章で詳しく解説します。
譲渡所得は、不動産の売却価格が購入価格と諸費用の合計を上回る時に課税されます。不動産の売却で得た利益を譲渡所得といい、譲渡所得にかかる税金を総称して譲渡所得税と呼びます。
譲渡所得税と言っても、実際に課税される税金の名前は「所得税と住民税」です。所得税と住民税に加えて、令和19年までは復興特別所得税も課税されます。
また、前章の表下※6で解説した通り、譲渡所得税の税率は所有期間が5年超えているかどうかで変わるため、所有期間に注意が必要です。
譲渡所得税の税率は、不動産を所有していた期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれます。(以下参照)
所有期間
譲渡所得税の税率は前章の表で解説しているので、そちらを確認してくださいね。譲渡所得税は、不動産の所有期間が5年超えているかどうかで税率が大きく変わるので、所有期間の数え方を間違えないように注意しましょう。
譲渡所得税の税率に影響する所有期間は、1月1日を基準に数えます。
例えば2021年中に不動産を売却する場合、2015年12月31日以前に購入した不動産は長期譲渡所得、2016年1月1日以降に購入した不動産は短期譲渡所得です。
実際の所有期間が5年超えでも、1月1日を基準にして5年を超えていない場合は短期譲渡所得の税率が適用されます。譲渡所得税の所得税・住民税・復興特別所得税の計算は、以下の手順で行います。
手順1:譲渡所得を計算する
譲渡所得=売却価格ー取得費+譲渡費用
手順2:手順1で計算した譲渡所得に、所有期間に応じた所得税・住民税の税率をかける(所得税と住民税の税率は第1章を参考にしてください。)
所得税・住民税=譲渡所得×税率
手順3:手順2で計算した所得税額に、復興特別所得税の税率2.1%をかける
復興特別所得税=手順2で計算した所得税額×2.1%
「文章だけではわからない…」という人は、以下の具体例を参考にしてくださいね。
例:譲渡所得が1,000万円で所有期間5年超えの不動産の場合
税額 | 計算式 | |
---|---|---|
所得税 | 150万円 | 1,000万円×15% |
住民税 | 50万円 | 1,000万円×5% |
復興特別所得税 | 約3万円 | 150万円×2.1% |
上記では触れていませんが、手順1の計算で使用する「建物の取得費」は、減価償却後の価格を使用します。減価償却とは、建物の価値を年数ごとに減らすことです。
減価償却に関して解説すると複雑になってしまうため、ここでは省略しています。減価償却について詳しく知りたい人は、以下に記載の国税庁の公式サイトを参考にしてください。
また、取得費がわからない場合は、売却価格×5%を取得費として計算します。
不動産売却にかかる税金には、節税対策として各種特例制度があります。以下は、マイホームを売却した場合の特例制度の一例です。
【3,000万円の特別控除の特例】
マイホームを売却した場合、最高3,000万円まで譲渡所得から控除できる制度です。(所有期間不問)
【マイホーム軽減税率の特例】
所有期間が10年を超えているマイホームを売却した場合、譲渡所得の軽減税率を受けられます。(6,000万円以下の譲渡所得の場合、税率15%から10%に軽減)
【マイホーム買い替えの特例】
令和3年12月31日までにマイホームを買い替えた場合、譲渡所得税の課税を将来に繰り延べることができる制度です。
ただし、上記の特例制度を受けるには条件があります。条件の詳細は、以下に記載の国税庁の公式サイトをご確認ください。
ここでは、実際に不動産を売却した時の譲渡所得税を、短期譲渡所得・長期譲渡所得の所有期間別にシミュレーションします。
土地付き一戸建てを、以下の条件で売却した場合のシミュレーションをしていきます。
条件
所有期間 | 3年 |
---|---|
購入価格(土地+一戸建て) | 4,500万円 |
購入にかかった諸費用 | 225万円 |
売却価格 | 6,500万円 |
譲渡費用 | 325万円 |
※購入にかかった諸費用、譲渡費用は目安として物件価格×5%で計算しています。
※建物の減価償却は考慮していません。
手順1:譲渡所得を計算する
1,450万円=6,500万円ー(4,500万円+225万円+325万円)
手順2:所得税を計算する
435万円=1,450万円×30%
手順3:住民税を計算する
130.5万円=1,450万円×9%
手順4:復興特別所得税を計算する
約9.1万円※=435万円×2.1%
※千円未満切り捨て
手順5:税額合計を計算する
約574.6万円=所得税435万円+住民税130.5万円+復興特別所得税9.1万円
次に、マンションを以下の条件で売却した場合のシミュレーションをしていきます。
条件
所有期間 | 20年 |
---|---|
マンション購入価格 | 不明※ |
購入にかかった諸費用 | |
売却価格 | 6,000万円 |
譲渡費用 | 300万円 |
特例制度 | 3,000万円の特別控除 |
※マンションの購入価格と取得費が不明のため、売却価格×5%の300万円を取得費とします。
※譲渡費用は目安として物件価格×5%で計算しています。
※建物の減価償却は考慮していません。
手順1:譲渡所得を計算する
2,400万円=6,000万円ー(300万円+300万円)ー3,000万円
手順2:所得税を計算する
360万円=2,400万円×15%
手順3:住民税を計算する
120万円= 2,400万円×5%
手順4:復興特別所得税を計算する
約7.5万円=360万円×2.1%
※千円未満を切り捨て
手順5:税額合計を計算する
約487.5万円=所得税360万円+住民税120万円+復興特別所得税7.5万円
シミュレーションで計算した通り、不動産の売却額と取得費の差額が大きいと、譲渡所得税額は数百万円になります。不動産を売却する前によくシミュレーションをして、譲渡所得税がどれくらいかかるのか確認しておきましょう。
また、譲渡所得税がかかる場合でも、特例制度で節税対策をすると手元に残る現金を増やすことが可能です。特例制度の適用を受けられるか、事前に確認してみてくださいね。
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