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健康保険料・介護保険料が上がる仕組みと保険料アップを抑える方法
不動産を売却して得られる現金。住み替えの頭金や老後の生活費など、その使い道をすでに決めている人もいるでしょう。
しかし、不動産売却後に得られる利益は所得とみなされるため、人によっては翌年の健康保険料・介護保険料が上がる可能性があります。
不動産を売却して保険料が上がる可能性がある人は、自営業者や年金生活者などの会社勤めでない人、75歳以上の人、家族の扶養に入っている人などです。
ただし、これらに該当する人の負担が必ず増える訳ではありません。仕組みを理解して対策を取っておくと、想定外の負担増加を抑えることができるでしょう。
ここでは、不動産を売却して健康保険料・介護保険料が上がるケースやその仕組み、保険料アップを抑える方法を解説します。
今は読んでいる時間が無い!という方、この記事の要点はこちら目次
不動産売却後に健康保険料が上がる可能性がある人は、以下に該当する人です。
上記の意味がよくわからない…という人は、まずは日本の健康保険制度について確認しておきましょう。こちらの解説が不要の人は、次へお進みください!
日本の健康保険制度は、全ての国民が医療保険の被保険者または被扶養者になる「皆保険制度」という仕組みです。日本で生活している人は、一般的に以下いずれかの健康保険に加入しています。【日本の健康保険制度の概要】
健康保険の種類 | 運営主体 | 対象者 |
---|---|---|
健康保険 | 健康保険組合 | 大企業の会社員 |
協会けんぽ | 中小企業の会社員 | |
共済制度 | 共済組合 | 公務員 |
国民健康保険 | 市区町村 | 自営業者・年金生活者など会社勤めでない人 |
後期高齢者 医療制度 | 後期高齢者 医療広域連合 | 75歳以上の人 |
国民健康保険には、「扶養」の概念がありません。そのため、家族の扶養に入っている人は、その家族が健康保険または共済制度の被保険者ということです。
健康保険の基本的な知識を確認できたところで、不動産売却後に健康保険料が上がるケースについて解説していきましょう。
不動産を売却すると、利益が発生することがあります。この利益は譲渡所得と呼ばれ、本人の所得とみなされる仕組みです。国民健康保険料は、所得が高いほど負担が増えるので、所得が増えた分、保険料が値上がりします。
ただし、不動産を売却したからと言って、必ず譲渡所得が発生するとは限りません。国民健康保険料が上がる仕組みの詳細や、譲渡所得については後ほど解説します。保険料が上がる仕組みや保険料アップを抑える方法を後ほど解説するので、気になる人はぜひご覧ください。
家族が会社員や公務員の場合、扶養に入っている人もいるでしょう。一般的に、被扶養者には「年収130万円未満であること」と言った条件が定められています。
そのため、不動産を売却して所得が増えると、扶養を外れて国民健康保険に加入せざるを得ない場合があるでしょう。ただし、不動産の売却のように一回限りのものは収入とみなされないこともあります。
家族の扶養に入っている人は、不動産を売却する前に健康保険組合や共済組合へ確認しておくと安心です。
会社員が加入する健康保険や公務員が加入する共済制度は、毎月の給料や賞与を基に保険料を計算する仕組みです。そのため、不動産を売却して譲渡所得を得た場合でも、健康保険料には影響しません。
ただし、譲渡所得を得た人は、確定申告をして譲渡所得税を納税する必要があります。譲渡所得の詳細は以下の記事で解説しているので、不動産を売却予定の人はぜひご覧ください。ここでは、不動産の売却と健康保険の関係をより深く理解するために、保険料の仕組みと不動産売却の関係について詳しく解説します。
ただし、国民健康保険料や後期高齢者医療の保険料の計算方法や保険料率は、お住まいの地域で異なります。ここではあくまでも一般的なケースを紹介するので、詳しくは各市区町村や後期高齢者医療広域連合の窓口へご確認ください。
国民健康保険料は、各市区町村に応じて以下のいずれかで計算される仕組みです。
保険料の考え方 | |
---|---|
所得割 | 世帯の被保険者の所得に応じて割り当てる |
資産割 | 世帯の被保険者の固定資産税額に応じて割り当てる |
均等割 | 世帯の被保険者数に応じて割り当てる |
平等割 | 世帯ごとに平等に割り当てる |
上記の方法で世帯の被保険者ごとに保険料を計算し、その合計金額が国民健康保険料として徴収されます。
国民健康保険料の計算方法の中で、不動産の売却に最も関係しているのは所得割です。所得割は、被保険者の所得に各市区町村で定められた保険料率を掛けて計算します。【所得割の計算式の例】
国民健康保険料20万円=所得400万円×保険料率5.0%
この計算方法では、所得が高くなるほど納める保険料も高くなります。不動産を売却して所得が増えると、保険料が上がる可能性があるでしょう。
また、国民健康保険の均等割・平等割には、一定の所得基準を下回る人に対して最大7割まで減額する制度があります。この制度の所得には不動産の売却で得られる譲渡所得も含まれるため、該当する人は減額の制度が適用されなくなる可能性があります。
また、均等割に関しても、一定の所得基準以下の人には最大7割まで減額する制度があります。この際の所得には不動産の売却で得られる譲渡所得が含まれているので、所得が増えると減額の制度が適用されなくなるかもしれません。
介護保険の加入者は、40歳以上の人です。40歳未満の人でもいずれ加入することになるので、不動産売却後の介護保険料についても確認しておきましょう。
国民健康保険に加入している40歳以上65歳未満の人は、介護保険制度の第2号被保険者となり、国民健康保険料と一緒に介護保険料が徴収される仕組みです。
国民健康保険料と同様、介護保険料も所得に保険料率をかけて計算するため、不動産を売却して所得が増えると介護保険料も上がる場合があります。また、65歳以上の人は介護保険制度の第1号被保険者となり、原則、年金から介護保険料が天引きされる仕組みです。こちらも前年の合計所得金額によって保険料が変わるため、不動産を売却して所得が増えると保険料が高くなる場合があります。
ここまでは保険料に焦点をあてて解説しましたが、譲渡所得とはそもそも何?と疑問に感じる人もいるでしょう。ここでは、譲渡所得の考え方を解説します。
譲渡所得とは、不動産を売却して得られる利益で、以下の計算式で求めます。
譲渡所得=売却価格−(取得費※1+譲渡費用※2)
不動産を売却すると現金が手に入りますが、その売却価格の全てが譲渡所得になる訳ではありません。売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いて、ブラスになった部分を譲渡所得と呼びます。
譲渡所得を得た人には所得に対して譲渡所得税が課税され、納税義務が生じます。一方、譲渡所得が生じなければ所得としてカウントされないので、保険料も上がりません。譲渡所得については、以下の記事で詳しく解説しています。不動産の売却を検討している人はぜひご覧ください。
不動産売却時の譲渡所得についてそれでは、不動産売却後の国民健康保険料や介護保険料アップをどのように抑えればよいのでしょうか。
対策として、以下の方法があります。
【保険料アップを抑える方法】
上記を実行することで、譲渡所得を減らして翌年の保険料アップを防げる可能性があります。具体的な方法は複数あるため、不動産を売却する前にどのような方法を利用できるのか確認しておくとよいでしょう。
たとえば、売却する不動産がマイホームの場合、「3000万円の特別控除」という特例制度を利用できる場合があります。譲渡所得を計算する際の取得費の考え方や特例制度については以下の記事で詳しく解説しているので、不動産の売却を検討している人はぜひご覧ください。
【3000万円の特別控除とは】不動産売却で必要な税金の知識国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入している人、家族の扶養に入っている人は不動産売却後の保険料アップに注意が必要です。
ただし、健康保険料や介護保険料が上がるのは譲渡所得が生じた場合なので、経費計上・特例制度の利用など事前に対策を取っておくと負担を軽減できます。
資産を売却してまとまった現金が手に入っても、税金や保険料が上がっては損をした気分になりますよね。仕組みをしっかりと理解して、利用できる制度を賢く利用しましょう。
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