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街のデータを比較することで見えてくる、住みやすい街の特徴
居住地を選ぶ上で、都心へのアクセスの良さは重要なポイントです。通勤時間を減らすことができれば、苦痛に感じる時間を減らすことができ、プライベートな時間を増やすことができます。
例えば、東京駅から30分圏内の市区はどこに存在し、どのような特徴があるのでしょうか。この記事では、「東京駅30分圏内の市区の違い」をテーマに解説します。
目次
最初にアンケート結果より、通勤時間が重要な理由や30分圏内を選んだ理由を解説します。
通勤時間の長さは、多くの人にとってストレスの原因となっています。民間の調査結果によると、通勤時間にストレスを感じるか否かの回答は、下表の通りです。
回答 | 割合 |
---|---|
とても感じる | 39.9% |
まあ感じる | 44.7% |
あまり感じない | 13.6% |
全く感じない | 1.8% |
「とても感じる」が39.9%、「まあ感じる」が44.7%であり、合計で84.6%の人がストレスを感じると回答しています。
同アンケートでは、通勤時間がストレスに感じる理由も調査しています。
ストレスに感じる理由の上位の結果は、1位が「座れない」、2位が「混雑している」という回答です。
混雑した中で、長時間座れないことがストレスの大きな原因となっていることがわかります。
通勤時間は、長ければストレスを感じ、短いほどストレスは少なくなると考えられることが一般的です。
では、理想的な通勤時間とは、いったいどの程度なのでしょうか。
民間の調査結果によると、理想的な通勤時間に対する回答は、下表の通りです。
理想の通勤時間 | 人数 |
---|---|
10分未満 | 166人 |
30分未満 | 288人 |
45分未満 | 24人 |
理想的な通勤時間は、30分未満と回答している人が最も多くなっています。
本記事では、東京駅から30分圏内の市区を比較検証していますが、30分圏内とした理由は理想的な通勤時間を30分未満と考えている人が多いからです。
勤務先は必ずしも東京駅だけでなく、新宿駅や渋谷駅など他の駅の人も多いと思います。
住む街を探す際は、本記事を参考に「通勤時間30分」をキーワードに選んでいただければと思います。
東京駅から30分圏内の市区として、ここからは千葉県船橋市と神奈川県川崎市、東京都足立区の3市区を紹介します。
船橋市と川崎市、足立区の3市区は、東京駅から30分圏内の自治体を1都3県の中から都道府県をばらして選定しています。
東京駅から30分圏内の駅の調べ方は、乗り換え時間や駅から駅への徒歩移動時間を含む距離です。
各市区の代表的な駅からJR東京駅までの所要時間は下表のようになります。
市区 | 駅名 | およその時間 |
---|---|---|
船橋市 | JR船橋駅 | 24~26分 |
川崎市 | JR川崎駅 | 16~24分 |
足立区 | JR北千住駅 | 14~24分 |
3市区における東京駅から30分圏内の駅は、下表の通りです。
市区 | 東京駅から30分圏内の駅 |
---|---|
船橋市 | JR総武線:下総中山 JR総武線快速:船橋駅 |
川崎市 | JR東海道本線:川崎駅 JR横須賀線:新川崎駅、武蔵小杉駅 JR南武線:尻手駅 |
足立区 | JR常磐線:北千住駅 東武伊勢崎線:牛田駅 京成本線:千住大橋駅、京成関屋 つくばエクスプレス:青井駅、六町駅 日暮里・舎人ライナー:足立小台駅、扇大橋、高野、江北 |
上表の駅以外にも、乗り継ぎによっては東京駅から30分以内で行ける駅もあります。
例えば、川崎市にあるJR南武線の鹿島田駅は、東海道線と南武線の乗り継ぎが良ければ30分以内で移動することができます。
乗り継ぎ状況によって30分を超える駅は、保守的に外していますのでご留意ください。
3市区の基本情報として、規模感や発展性、人口構成に関するデータを以下に示します。
項目 | 船橋市 | 川崎市 | 足立区 |
---|---|---|---|
人口総数 | 645,718人 | 1,522,390人 | 689,106人 |
総面積 | 85.62 km2 | 142.96 km2 | 53.25 km2 |
可住地人口密度 | 7,898人/ km2 | 11,375人/ km2 | 13,052人/ km2 |
人口増減比率※ | 103.2% | 104.3% | 103.7% |
年少人口率(15歳未満) | 12.50% | 12.48% | 11.01% |
生産年齢人口率(15~64歳) | 63.41% | 67.38% | 64.15% |
高齢人口率(65歳以上) | 24.09% | 20.14% | 24.83% |
人口総数は、多い順から川崎市、足立区、船橋市の順番となります。
川崎市は政令指定都市であり、人口は150万人を超える規模となっています。
船橋市は、人口20万人以上の都市が指定を受けられる中核市です。
可住地人口密度に関しては、高い順から足立区、川崎市、船橋市の順番となっています。
川崎市は沿岸部に京浜工業地帯が存在し、人口が少ない地域を抱えています。
船橋市は沿岸部に京葉工業地帯、内陸部に農地があり、可住地人口密度の低い地域も存在します。
一方で、足立区は大規模な工場地帯や農地もないことから、可住地人口密度の高い街が形成されていると考えられます。
人口増減比率に関しては、3市区ともほぼ同水準であり増加傾向にあります。
近年、日本全体を見ると人口減少が進んでいます。
人口減少社会の中で人口が増えている自治体が存在するのは、主に移動による社会増が主たる原因です。
3市区とも流出よりも流入が上回る状態が続いており、人口増加が継続しています。
人口増減比率はわずかな差ではありますが、3市区の中では川崎市が最も勢いがあるといえるでしょう。
中心部からやや離れた自治体で人口が増加している地域では、主に子育て世帯の流入が中心となっており、人口構成割合も類似してくることが多いです。
3市区とも、年少人口率(15歳未満)が11~12%程度、生産年齢人口率(15~64歳)が65%前後、高齢人口率(65歳以上)は20~24%程度となっています。
人口構成について少し細かく見ていくと、年少人口率は船橋市と川崎市がほぼ同水準で、足立区が若干低いです。
一方で、高齢人口は船橋市と足立区がほぼ同水準で、川崎市が若干低くなっています。
その結果、川崎市は生産年齢である現役世代が多く住む街となっている点が特徴です。
川崎市は、人口増減比率がやや高いことから、15歳未満の子どもがいる子育て世帯が比較的多く流入していることが推測できます。
3市区の生活環境に関連するデータを以下に示します。
項目 | 船橋市 | 川崎市 | 足立区 |
---|---|---|---|
1人当たりの都市公園面積 | 3.38m2 | 3.83m2 | 4.57m2 |
百貨店・総合スーパー数 | 7店 | 12店 | 6店 |
刑法犯認知件数 人口1000人当たり | 4.73件 | 3.67件 | 4.62件 |
ガス料金※1 | 3,432円(習志野市) 4,515円(京葉瓦斯株式会社) |
3,926円(東京瓦斯株式会社(東京地区等)) | 3,926円(東京瓦斯株式会社(東京地区等)) |
水道料金※2 | 3,250円(千葉県営水道) 2,629円(習志野市) |
2,321円(川崎市) | 2,816円(東京都水道局) |
下水道料金※3 | 2,211円(船橋市) | 2,156円(川崎市) | 2,068円(東京都下水道局) |
公園の面積は、住環境の良否に影響を与えます。
特に子育て世帯にとって近くに子どもを遊ばせることができる公園があることは、子育てのしやすさに影響を与える要因です。
1人当たりの都市公園面積で見ると、広い順から足立区、川崎市、船橋市という結果になっています。
可住地人口密度も高い順から足立区、川崎市、船橋市という順番でした。
足立区は可住地人口密度が高いにもかかわらず、1人当たりの公園面積も広いため、公園に関しては他の市区よりも充実していることがわかります。
一方で、船橋市は可住地人口密度が3市区の中で最も低いことから、1人当たりの都市公園面積は広いと思われるかもしれませんが、実際は最も狭くなっていることがわかります。
子どもを近くの公園で遊ばせたいと考えている人は、足立区の方が理想の住環境が見つかりやすい可能性があります。
百貨店・総合スーパー数に関しては、多い順から川崎市、船橋市、足立区という順番です。
川崎市は政令指定都市であるため、商業繁華性も高く、店舗の数は他の市区よりも多くなっています。
商業施設の充実度は、生活利便性を向上させる重要な要因です。
便利な都市生活を望んでいる人は、店舗数の多い川崎市を選ぶと満足度が高くなる可能性があります。
住む街を選ぶにあたり、治安が気になる人も多いと思います。
人口1000人当たりの刑法犯認知件数は、多い順から船橋市、足立区、川崎市という順番です。
刑法犯認知件数の観点からは、川崎市が比較的安心して暮らしやすい街であることがわかります。
ガス料金や水道料金、下水道料金は、自治体によって供給する事業者が異なることもあり、金額に若干差異が見られます。
ただし、ガス料金と水道料金、下水道料金を合算すると、船橋市が8,893円(ガスは習志野市・水道は千葉県営水道で計算)、川崎市が8,403円、足立区が8,810円となっており、トータルで見ればほとんど差はない状況です。
また、家庭ごみの分別方式も市区によってことなります。
3市区の家庭ごみの分別方式を示すと、下表の通りです。
市区 | 家庭ごみの分別方式 |
---|---|
船橋市 | 4分別16種〔可燃ごみ 不燃ごみ(不燃ごみ、乾電池、水銀含有物、蛍光管等) 資源ごみ(空きびん、空き缶、金属類、ペットボトル) 有価物(新聞、雑誌、雑がみ、段ボール、牛乳パック、古着、毛布)〕 |
川崎市 | 7分別〔普通ごみ 空きびん 使用済み乾電池 ミックスペーパー プラスチック製容器包装 空き缶・ペットボトル 小物金属〕 |
足立区 | 3分別10種〔可燃ごみ 不燃ごみ 資源(古紙[新聞、雑誌類、雑がみ、段ボール、紙パック]、びん、缶、ペットボトル)〕 |
以上、データで見る東京駅30分圏内の市区の違いについて解説してきました。
データを比較すると、各市区の特徴が見えてきます。
例えば、刑法犯認知件数が少なく百貨店や総合スーパーの多い川崎市は、住みやすい可能性があり、結果として15歳未満の子どもがいる子育て世帯が比較的多いです。
足立区は都市公園面積が広いため、子どもを遊ばせることができる公園を見つけやすいといえます。
船橋市は人口密度が低いことから、様々なものの混雑度も低く、ゆとりを感じやすいと考えられます。
データを比較しながら、理想の通勤時間を実現する街の中で住みやすい街を選んでいただければ幸いです。
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